カルシウムパラドックスを知らないお医者さんも

2013年03月04日

口から摂るカルシウムが足りないと副甲状腺からホルモンがでて、骨からカルシウムを溶かし出せという指令が発せられる。そのときに、必要以上の多量のカルシウムが血液中に溶かしだされることにより、そのカルシウムが血管壁に沈着し、血管を硬くし動脈硬化を起こす。このことを「カルシウムパラドックス」とよぶ。パラドックスとは、逆説を意味する。

いまだに、血液中のカルシウム量が多い患者にたいして「カルシウムの摂りすぎだから摂取を控えた方がいい」と指導する医師が存在するよう。これでは、まったく反対の指導になってしまう。

高齢者医療の第一人者であり、数々の現場経験からカルシウム摂取の重要性を提唱する林泰史氏の著書「骨の健康学」より引用し、カルシウムパラドックスについて説明します。

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『骨の健康学』より抜粋 林 康史著(東京都リハビリテーション病院長)

*カルシウムパラドックス

カルシウム・パラドックスという言葉を聞いたことのない人も多いと思うが、パラドックスとは、「奇異なこと」や「逆説的なこと」をいう。カルシウムについて、何があたりまえでないのかというと、骨にカルシウム量が少ない人ほど、動脈などにカルシウムがたくさんたまっていることである。
 
カルシウムを食べ物でたくさん摂らなければ、血液中のカルシウムは不足するが、それを補うために骨が溶かされるという仕組みが体にはある。骨のカルシウム含有量が減る状態になれば、血管など体内のさまざまな組織のカルシウム量も減少し、間違っても増えることはないはずである。しかし実際は、骨が弱くなっている人ほど動脈などにカルシウムがたまる、といった奇異な現象がみられるのである。これをカルシウム・パラドックスという。
 
この現象をみつけだしたのは放射線科医師エルケレスで、今から50年前頃に50歳以上の人達の腹部レントゲン像を観察しているうちに、腹部大動脈の石灰化は骨粗鬆症の進行に比例することを見いだした。腰の骨のカルシウム量が少ない人ほど、腰の骨のすぐ前を走っている腹部大動脈の石灰化がいちじるしかった。
 

カルシウム不足は動脈硬化をまねく

血液中には一定量のカルシウムがなくてはならないが、カルシウム摂取量が減り、血液中のカルシウム濃度が低くなると、喉仏の近くにある豆粒ほどの副甲状腺からホルモンが分泌される。この副甲状腺ホルモンの命令を骨芽細胞が受け取り、破骨細胞にはたらくように指令を出すと、破骨細胞は骨をどんどん削りその結果、周辺の血管はカルシウム沈着に見舞われるのである。

動脈は弾力性があるので、軟らかいゴムホースのようにふくらんだり元に戻ったりするが、これができるのは動脈壁内のゴムのようなタンパク質、エラスチンによる。このエラスチンは血液中のカルシウムと結合しやすく、結合した場合少し構造を変化させて、古くなったゴムのように弾力性を失ったタンパク質となる。
 
その結果、心臓から送り出された血液は、弾力性の低い大動脈をふくらませることができなくなり、心臓の圧迫力がそのまま手足や頭に伝わって高血圧になってしまうのである。また、血管壁のなかには、血液中のコレステロールは容易に侵入することができないが、カルシウムと結合したエラスチンは動脈壁に疲労性のヒビをつくりやすいので、ヒビを通って血管壁の中にコレステロールが入り込む。このようにして、動脈にカルシウムとコレステロールがたまり、血圧が高くなるうえ、血液が通りにくくなるといった、高血圧や動脈硬化が生じる。

カルシウム摂取不足が骨を弱くするだけでなく、高血圧や動脈硬化を招くといった「カルシウム・パラドックス」は腎臓や脳にいく血液の流れを少なくしたり、止めたりもする。その結果、腎臓機能の低下や腎性高血圧がみられたり、脳血管障害が生じたりする。
 

細胞の表面にはカルシウムを取り込む小さい孔があいていて、その孔が細胞内に入るカルシウム量を調節しているが、あまりにも大量のカルシウムが、血管壁の弾力性をコントロールしている平滑筋細胞内に取り込まれると、細胞が硬くなって死んでしまう現象が知られている。
 
この平滑筋細胞にたいして骨から溶け出したカルシウムが悪い影響をおよぼしているとの考えがある。動脈硬化はコレステロールの摂りすぎによると考えられている一方で、骨からでてきたカルシウムが血管を硬くし、コレステロールの沈着をも招くことを考えると、カルシウム・パラドックスはもっと知ってもらいたい言葉である。                                     

林泰史氏.jpg
東京都リハビリテーション病院長
林 泰史(はやし・やすふみ)

高齢者医療の第一人者であり骨の専門家として知られる。老化は必ず進むが、老化を遅らせて「年老いても健常老化であること」の大切さを説く。
基本的には食事の栄養分を控え、過食せず、運動をし、
老いても社会に参加する、など10か条を挙げている。
血清アルブミンを高く維持することが若々しい身体と頭を保つとも説いている。


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posted by shinto at 16:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | カルシウム
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